クラウドファンディング

【成功事例に学ぶ飲食店クラウドファンディングの流儀】渋谷『いまここ』の場合

飲食店のプロモーションメディアとしても、存在感を増してきているクラウド・ファンディング。
実際のところ、どんな特徴があり、どんな効果が望めるのでしょうか?
150人以上の支援者から300万円超の支援を集めた神泉の和食店『いまここ』のオーナー、大角公彦さんにご協力いただき、お店側から見た場合、クラウドファンディングはどう使うべきかというテーマで振り返ってもらいました。

お店側から見たクラウドファンディングのメリット・デメリット

●クラウドファンディングをやってよかったですか?

大角「結論からすれば、やって良かったと思ってます」

●その良かった理由とはどんなところにありますか?

大角最大のメリットは、今までは見えなかったお客さんに、お店の存在を知ってもらえることです。例えば、クラウドファンディングのプラットフォームに何十万のユーザーが付いていますから、うちの店に興味を持つ、持たないは別にしても、とりあえずページを見て、存在を知ってもらえるということは重要です。何も知らないのと、一回何かで見たことあるのでは、だいぶ違いますよね。なので、一番大きかったのは、やっぱり認知度の拡大ということだと思います」

裏渋谷「いまここ」

「自分がクラウドファンディングをやってわかったのは、集客や認知度向上に集中したほうが効果があるということ」

●そもそもクラウドファンディングに挑戦しようとしたきっかけは何だったんですか?

大角「正直に話すと、お付き合いのある信用金庫さんから勧められていたことがきっかけだったのですが、店がある渋谷近辺の企業内などで、うちの店の認知が高められれば、未来にも繋がるだろうという見込みはもっていました。店をオープンして7年経つのですが、例えば、ほぼ毎日店の前を通っているのに『ここ和食の店だったんだ?』っていう人がいたり、すぐ近くの246号の向こう側に職場があるのに『こんなところに和食の店があったんですね?』とおっしゃる方が立て続けに来店されたときに、ちょうど勧められたというタイミングもありました」

●となると、資金調達という意味合いは低かったということですか。

大角「そうですね。経営としてはそこそこ回っているのですが、そういった声を直接聞くと、もう少し認知度を高めないといけないと思っていたんです。たとえ、クラウドファンディングに直接支援してくれなかったとしても、『いまここ』という和食店が裏渋谷にあるんだという記憶だけでも残れば、大きな一歩ですから

●なるほど。

大角「これはあくまで個人的な意見で、そのお店の状況にもよりますが、飲食店のクラウドファンディングに関しては、資金繰りがきついお店は向いていないと思います。支援してくれる方がそこそこいて、その分のお金が入ったときには、一瞬は潤った感じになるんですけど、その後にキャッシュフローが厳しくなる時期が絶対きます。だから、集客とか認知度向上だと割り切って取り組んだほうがいいと、自分がやってみて思いました

●集客ツールとしてのクラウドファンディングの特徴はどんなところでしょう?

大角集客のツールとしてクラウドファンディングは、ずば抜けている印象があります来てくれた人たちも、『良かったよ、こういう店があることが知れて』『この界隈で、会食に使える店がなかったんだよね』とか、そういう方々にアプローチすることができましたので」

●ほかのグルメサイトなどと比べても、という意味ですか?

大角「どのメディアにもメリ・デメはあるので、一概に良い悪いではないのですが、一般的なグルメサイトとはユーザーがあまりかぶらない印象があります。うちはマクアケを使ったのですが、実際に来店していただいたお客様に特徴的なのは、飲食業界で言う“客筋のいい”方が多いことが特徴でしょうか」

連客効果も期待しやすいクラウドファンディング

大角「これは、実行するお店側の努力次第ですが、一回の来店で終わらせるのではなくて、次に繋げるということが重要だと思っています。支援してリターンチケットを購入してくれた方だけが来るわけではなく、ほとんどが連れのお客さんもいらっしゃいます。2人で来ていただければ、支援して頂いた人数の単純に倍ですよね、そこだけの人たちに、お店を知ってもらえることが大きいと思っています」

●連客効果の中でも“筋がいい”わけですね。

大角「うちのような和食店の場合、使う目的は接待利用が多いと思うのですが、とはいっても、最初から接待に利用する方は少ない印象です。友人同士や夫婦でいらっしゃって、大事なシーンでも使えるか確かめているような雰囲気を持った方が多いですね。そういった使い方も、実は店にとって非常にありがたいことで。夫婦で気に入ってもらったら、旦那様に会食で使っていただけるし、奥様にはランチ会などで使っていただけるしと、広がりが期待できるわけです」

「プロジェクトが終わった後こそスタート。店はリピーターづくりに努力すべきだと思います」

●リピーターになってくれているお客様は多そうですね。

大角「その可能性は感じます。ふつう食事って、せいぜい2時間半くらいのものですよね。通常のお客様だと、接待なのか家族なのか友人との食事なのかっていう目的の中で、店側としては、まず店の特徴を知ってもらって、さらに売り込む要素を少しずつ入れ込んでいきたいのですがーー」

●接客のテクニックとしてこれはなかなか難しいですよね。

大角「そうなんです。一般的にグルメサイトなどから来てくれるお客様は、場所と値段、数枚の写真なんかで判断して来てくださる方も意外と多いので、お店の説明から入らないといけないんです。一方で、クラウドファンディングのお客様は、店の特徴をわかったうえで来てくれるので、接客の最初の段階をスキップして、次のフェーズから会話がスタートできます。ですので、自分の店の魅力を伝えやすい、それはつまり、ファンになってくれる可能性がより高いということなんです。最終的には、店側の腕ですけど」

●逆に、クラウドファンディングのお客様に対しての難しさはありましか?

大角「難しいのは、『マクアケの応援ありがとうございました』とお礼を言いたいんですけど、これは人によっては絶対に言っちゃダメなシーンもありますよね。お連れのお客様に、『クーポン的なもので買ったもので、誘われてるの?』と思わせたらいけない時も多いわけですので」

「サービスに付随している機能は、活用したほうが得」

大角「ただ、マクアケの場合、メッセージ機能もついていますよね。そんなに使っているという話は聞きませんが、あれはうちの店にとっては重要なツールです。仮に食事の時に直接お礼が言えなかったり、うまく対応できなかったりしても、メッセージ機能でアフターフォローができますから」

●そういうメッセージ機能の使い方をしているのですね。

大角「これは絶対やったほうがいいと思います。時と場合によっては、軽い挨拶だけしてお帰りになることもあるわけです。そういった方に対してもお礼はしたいので、メッセージを送ればいいですよね。それだけで全然印象が違うはずです。ほとんど返信はこないですが、お礼の連絡がきたという記憶が残れば、店のことを覚えてくれることなので、多くのケースで再来店に繋がります

大角公彦氏プロフィール

 
1980年8月28日生まれ。 幼少時代を海外で過ごし、和食に対する憧れをふくらませて育ったため、その思い入れは深い。 帰国後【なだ万】の扉を叩き、【グランドハイアット東京】では根笹料理長に師事した。 師の元を離れてからは、2012年に南米にて日本大使館公邸料理人を務め、「優秀公邸料理長」として表彰された。 その腕を振るう場所として、2013年6月に【いまここ】を開店し、創造性豊かな逸品をつくり続けている。

 

『いまここ』店舗情報


営業時間:ランチ<火~金>12:00~14:00(事前ご予約制)/ディナー<月~土>18:00~23:00(L.O.22:00)
定休日:日曜日、第二月曜日
電話番号:03-6277-5213
住所:東京都渋谷区円山町25-8 1F
web:https://restaurant-ode.com/

 

 

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